仏教の人間主義の系譜 (2)

日蓮大聖人~現代

法華経の行者=日蓮大聖人

日蓮大聖人は、混迷する社会にあって、民衆の苦悩をわが苦悩とされ、その解決の道を探究されました。

人間の真の幸福と尊厳を実現する仏法の継承を誓い、先人たちの探究を踏まえつつ、自らも諸経典を探索されました。そして、万人の無限の可能性の開花と社会への展開を説く法華経に、解答を見出されました。

さらに、人間の真の幸福と尊厳を確立し、社会の安穏を実現することを固く決意されます。仏教に対する無理解と旧来の思想への誤った固執に基づく強烈な反発や権力者からの厳しい弾圧に屈することなく、民衆を励まし、蘇生させていく実践を、法華経の教説の通り、命懸けで貫かれたのです。

大聖人は、「南無妙法蓮華経」と唱える唱題行を確立し、信仰の対象である御本尊を図顕されます。法華経の肝要の教えを取り出して確立し、万人成仏への方途を具体的に示し開かれたのです。

「立正安国論」には「国を失い家を滅せば、いずれの所にか世を遁れん。汝すべからく一身の安堵を思わば、まず四表の静謐を禱らん者か」(31㌻)と、人々の幸福を築くには、世界の平和と繁栄が不可欠であることを訴えられています。

大聖人は、「立正安国」──社会を支える根本原理として、人間尊厳の哲学を打ち立て、人々が安穏に暮らせる社会を建設すること──を、生涯の実践の根幹とされました。

それは、人間生命や人間社会を侵食する破壊的なエゴイズムを克服していくための釈尊以来の努力に連なるものであり、信頼と価値創造と調和に彩られた自他共の幸福の実現を願う仏法の根本精神に基づく、新たな人間主義の実践にほかなりません。

その機軸は、理性と人間性に満ちた「対話」だったのです。

日蓮仏法を現代に展開する創価学会

日蓮大聖人の思想と行動を、命を賭して、現代に蘇らせたのが、牧口先生、戸田先生、池田先生という創価の三代会長です。

その指導に基づいて、学会員はさまざまな活動を展開しています。

個人の日々の活動では、人生のさまざまな課題に挑戦しながら、唱題の実践によって、自身を深く見つめ、内なる希望と挑戦する勇気を引き出すとともに、人間性あふれる価値観を確立し、豊かな人格の完成を図っていきます。

この実践を「人間革命」と呼んでいます。

学会員は、日常的な対話や会合などで日蓮大聖人の御書や池田先生の指導などを学び、それぞれの実践体験を語り合い、そして互いに励まし合い支え合いながら活動しています。

さらに自らの信仰体験や仏法思想を友人・知人に語り、仏法という生命の法理と創価の人間主義の運動への理解・共感を広げ、同志のスクラムを拡大しているのです。

仏法西還――世界広宣流布

日蓮仏法の実践は、どこまでも自他共の幸福の実現を目指します。

〝よき市民〟として、それぞれが属する共同体への貢献を大切にします。それぞれの家庭・地域・職場における役割をしっかりと果たし、なくてはならない存在として信頼を勝ち得ることを目指しています。

創価学会では、現代世界が抱える地球的問題群への取り組みも、積極的に行っています。
世界各国での核兵器の廃絶を訴える展示の開催や難民救援活動などを通し、平和の大切さと生命の尊厳、人権の尊重などを訴えています。

また環境展などを通し、地球環境の保全への意識啓発を推進しています。

創価学会は、釈尊から日蓮大聖人にいたる人間主義の哲学と実践の系譜を再発見し、仏教の真髄として認識し、尊重するとともに、その伝統と精神を現代社会において継承し、未来に伝えていく活動を展開しています。

納得と触発の対話を通して、仏法の人間主義を各人の立場で実現していく人材群の輩出のために、たゆまぬ努力を続けているのです。

この人類の幸福と世界平和を実現しゆく運動を「広宣流布」と呼んでいます。

インドから東へと向かい、日本に伝わった仏教は、いま、日本から西へと還っていっています(仏法西還)。

仏法を基調とした人間主義の運動は、世界192カ国・地域に広がっています。

三宝

創価学会は、釈尊以来の仏法の正統を現代に受け継ぐ団体です。
「仏」と「法」と「教えを実践する人々」を大切に敬うことは、仏法者の基本です。それゆえ、これらをそれぞれ仏宝・法宝・僧宝とたたえ、三つ合わせて三宝と呼びます。

仏宝とは、教えを説く仏です。法宝は、仏が説く教えです。僧宝とは、教えを信じ実践する人々の集いです。

現代日本では、男性の出家者のみを僧と呼びますが、「僧」は、僧伽の略で、〝集い〟を意味する古代インドの言葉「サンガ」に漢字を当てたものです。意味をとって「和合」と訳され、二つ合わせて「和合僧」とも言います。

長い歴史を持つ仏教では、時代や社会の変化により、必要性に応じて、さまざまな教えが広められて、人々を教え導いてきました。

それぞれの教えに基づいて、尊崇する三宝の内容も異なっています。

創価学会は、末法において日蓮大聖人の仏法を実践する上から、仏宝は日蓮大聖人、法宝は南無妙法蓮華経、僧宝は創価学会としています。

まず仏宝については、末法において人々が現実に成仏できる教えを説いた日蓮大聖人を、末法の御本仏として尊崇し、仏宝として位置づけています。

そして、法宝は、仏が覚知した根本の法と、仏がそれに基づいて説いた教えです。日蓮大聖人は、釈尊のあらゆる経典の中でも法華経を最も優れた経典とし、その法華経の肝要の法が南無妙法蓮華経であることを覚知され、この南無妙法蓮華経こそが末法の万人成仏の根本の法であると示されました。ゆえに創価学会は、南無妙法蓮華経を法宝として尊崇し、大聖人が顕された南無妙法蓮華経の御本尊を信受して、南無妙法蓮華経の題目を唱えるのです。

また僧宝は、教えを伝承し実践する教団のことです。そこには本来、出家や在家の区別はありません。大聖人滅後、大聖人の仏法を正しく継承・伝持したのは、日興上人です。そして、現代において、日興上人を範とし、御書の仰せのままに、大聖人の御遺命たる世界広宣流布を推進しているのが、創価学会です。現代において南無妙法蓮華経を正しく伝持する教団である創価学会が、僧宝に当たります。