「宿命転換(しゅくめいてんかん)」ってどういう意味?
仏法では、“三世の生命”、あるいは“三世の因果”を説きます。
すなわち、生命は今世だけのものではなく、過去世・現在世・未来世の三世にわたるものであり、過去世の行為が因となって、現在世(今世)の結果として現れ、また、現在世の行為が因となって、未来世の果をもたらすと見るのです。
過去世に悪因があれば、今世に苦果(苦悩に満ちた結果)があり、善因があれば、楽果(福徳あふれる安楽の結果)があるとするのが、仏教一般で言われる因果です。
しかし、これでは、現在の苦しみの原因はわかっても、それを今世において、ただちに変革することはできず、未来世にわたって、生死を繰り返しながら、一つ一つの悪業の罪を清算していく以外に、道はないことになります。
このように、宿業の考え方は、往々にして、希望のない宿命論に陥りやすいのです。これに対して、「宿命の転換」を説くのが、日蓮大聖人の仏法です。
・どうやって宿命転換していくんですか?
大聖人は、「佐渡御書」の中で、御自身が大難を受けているのは、仏教で一般に言われる通常の因果によるものではなく、過去において法華経を誹謗した故であると述べられています(御書960ページ)。
これは、万人成仏、人間尊敬、自他共の幸福を説ききった正法である法華経を誹謗すること、すなわち謗法(正法を謗ること)こそが根本的な罪業であり、あらゆる悪業を生む根源的な悪であるということを教えられているのです。
この正法に対する不信・謗法という根本的な悪業を、正法を信じ、守り、広めていくという実践によって、今世のうちに転換していくのが、大聖人の仏法における宿命転換です。そして、その実践の核心が、南無妙法蓮華経の題目です。